DOJIMA RIVER BIENNALE 2019

堂島リバーフォーラムは、水の都、大阪の堂島川のほとりに2008年に誕生し、昨年開館10周年を迎えることができ、
今年で11年目がスタートしました。みなさまにお支えをいただきながら美術、音楽など芸術文化の普及と発展に寄与すべく
小さくとも輝く光を灯しながら一歩一歩、進んで参りました。今年で第5回目となる堂島リバービエンナーレには、
2011年の第2回にもキュレーションをしていただいた飯田高誉氏をお迎えし、開催する運びとなりました。
ジャン=リュック・ゴダールの最新映画作品『イメージ』の本からインスパイアされている本展は、
唯一無二のビエンナーレになることと思います。

本展の開催に際し、ご尽力をいただいた多くの方々に改めて深謝を申し上げます。

第5回、堂島リバービエンナーレ2019
この夏、大阪、堂島リバーフォーラムで心よりお待ちしております。

2019年6月12日/堂島リバーフォーラム 古久保ひかり

CONCEPT

DOJIMA RIVER BIENNALE 2019
『シネマの芸術学_東方に導かれて_《X+3=1》』(註1)
「アートとは、現実の反映ではなく、その反映の現実性なのである」(註2)

「堂島リバービエンナーレ2019」展は、ジャン=リュック・ゴダールの最新映画作品『イメージの本(原題”LE LIVRE D’IMAGE”(英題︓THE IMAGE BOOK))』をインスピレーションとしている。「私たちに未来を語るのは“アーカイブ”である」(註3)と語るゴダールが、新撮シーンに絵画(TABLEAUX)、映画(FILMS)、テキスト(TEXTES)、音楽(MUSIQUE)を重層的にコラージュし、現代の暴力、戦争、不和の世界に対する彼の怒りを表明している。この映画は、200年の歴史に関する省察であり、今日の世界についての洞察を与えている。そして、この世界が向かおうとする未来を指し示す5つのチャプター(註4)によって物語が構成されている。

「アウシュヴィッツの後で、詩を書くことは野蛮である」というテオドール・W・アドルノの言葉は、大戦後の知識人に大きな影響を与えた。ゴダールや本展出品作家のゲルハルト・リヒターにも少なからず影響を与えたと考えられる。システマティックな大量虐殺という事態が起きた後、詩的なもの、審美的なものを追求することについて倫理的に許容できないという糾弾は、ヨーロッパの審美的倫理観である真、善、美を激しく揺るがすものであった。アウシュヴィッツという空前の事件は、効率性を中心に据えたという意味においてまさに20世紀という現代を象徴する出来事だった言える。そしてこの野蛮の極致ともいえる事件は、まさに「文化」と見なされているその効率性から生じたものだった。アドルノによれば、文化とは野蛮の対極にあるものではなく、文化こそ野蛮との親和性を持ち得るものであることを認識しなければならないと述べている。そのような「文化」が引き起こしたアウシュヴィッツのあとで、文化の批判が根本的に為されないままに放置されるのであれば、アドルノが考える本来の意味の文化である「詩作」ですら人間の活動からは最も離れたところにある野蛮さを体現しているといわざるを得ないのだ。

「堂島リバービエンナーレ2019」では、20世紀の記憶のアーカイブを前提にして、「飼い馴らされて」いないアートとは何なのかを問い掛けていくものである。市場で取引される画一化した大衆文化などグローバリゼーションによって金融資本主義的価値が重んじられ、真の意味での多様性が失われている現代において、本展覧会では、「文明」と「野蛮」を対立構造で捉えずに多様なテクネーと知性を用いて作品化しているアーティストの世界観を表象する作品を紹介することとなる。また、「秩序」と「混沌」、「美」と「醜」、「生」と「死」、つまり、表層と深層の境界で画することではなく、人間に内在している感覚領域において、理性的な記憶に止まらない身体的記憶を呼び起こすことによって、「文明」と「野蛮」を対峙させることを表明していくことが、この展覧会のコンセプトとなる。

アーティスティック・ディレクター
飯田 髙誉

(註1)
「映画とは「X+3=1」である。もしX+3=1ならば、この「=」は「−(マイナス)2」です。過去、現在、未来のいかなるイメージであれ、真の音や真のイメージが存在し始める第三のものを見い出すためには、消去することが必要である。「『X+3=1』とは、映画の鍵である」(ゴダール)

(註2)
Jean Luc Godard, David Sterritt (1998). “Jean-Luc Godard: Interviews”, p.29, Univ. Press of Mississippi “Art is not a reflection of reality, it is the reality of a reflection.”

(註3)
「私たちに未来を語るのは“アーカイブ”である」と語るゴダールが、新撮シーンにこれまでの絵画(TABLEAUX)、映画(FILMS)、テキスト(TEXTES)、音楽(MUSIQUE)を巧みにコラージュし、現代の暴力、戦争、不和の世界に対する彼の怒りをのせて、この世界が向かおうとする未来を指し示す5 章からなる物語。本作では、ゴダール本人がナレーションも担当している。昨年(2018年)5月に開催されたカンヌ国際映画祭では、映画祭史上初めて、最高賞【パルムドール】を超越する賞として特別に設けられた【スペシャル・パルムドール】を受賞した。前作『さらば、愛の言葉よ』(14)で、彼にしか創造し得ない新感覚の3D 技法で観客を驚かせたゴダール監督が今作では、枯渇することのないイメージと音を多用し、観客の創造力を縦横無尽に刺激されることであろう。

(註4)
「静寂にすぎない。革命の歌にすぎない。 5 本指のごとく、5章からなる物語」(ジャン=リュック・ゴダール)

参考文献
「啓蒙の弁証法」著者マックス・ホルクハイマー/テオドール・アドルノ
(原題:Dialektik der Aufklarung: Philosophische Fragmente)
「感覚の論理-画家フランシス・ベーコン論」著者 ジル・ドゥルーズ

参考引用文
「今日では文化がすべてに類似性という焼印を押す。映画・ラジオ・雑誌の類は一つのシステムを構成する。各部門が互いに調子を合せ、すべてが連関し合う。政治的に対立する陣営ですら自己宣伝の美的な様式は似たようなもので、ひとしく鋼鉄のようなリズムを謳歌している。大企業の華麗な本社ビルや商品展示場は、権威主義的な国であろうとなかろうと、ほとんど変りはしない。」(「啓蒙の弁証法」著者マックス・ホルクハイマー/テオドール・アドルノ、〈第4章、文化産業-大衆欺瞞としての啓蒙〉より)

TICKET

一般1000円/高校・大学生700円/小・中学生500円
※未就学児無料
※障がい者手帳をお持ちの方、付き添いの方は半額となります。受付にてご提示ください。

ACCESS

■ JR大阪環状線「福島」駅 » 改札出口から徒歩 約8分
■ JR東西線「新福島」駅 » 2番出口から徒歩 約7分
■ 阪神本線「福島」駅 » 3番出口から徒歩 約5分
■ 京阪電車「中之島」駅 » 6番出口から徒歩 約5分
■ 市営地下鉄四つ橋線「肥後橋」駅 » 4番出口から徒歩 約12分
■ JR各線「大阪」駅 » 桜橋口から徒歩 約15分
-大阪環状線 内回り「大阪」→「福島」駅 (約2分)
※等施設に駐車場はございません。近隣のコインパーキングをご利用くださいませ。

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